かた雪わたり
はてなダイアリー - 新人さぽ日記の方でちょっとコメントしたんですが、ええと、新人さぽ日記さんちのある北陸の一部地域では「たかあるき」、あたしの実家のほうでは「かた雪わたり」という、ええ、なんでしょう、遊びでしょうね、雪国の子供の。その「かた雪わたり」について、相方に説明を試みたんですが、いまいち伝わってない。相方は瀬戸内海沿岸の町育ちです。雪は三年に一回くらい、ちょこっと降るくらいだそうです。
雪の上を歩く、ということが、なぜ楽しいのか、なぜ遊びなのか。
これにはまず、この「かた雪わたり」(すいません、うちんちの方の呼び方で呼ばせて頂きます)というのが、11月末から降り、12月からは本格的な根雪になり、1月から2月中旬くらいまでうんざりするほど雪が降り続く日本海側の陰鬱な天候をまず認識して頂き、それから、その雪が、除雪された道以外の場所には1メートルから1.5メートルほど積もっている状態(もっとうずたかく積もっている地方もあるでしょうが)を想像して頂き、そういう状態では、道以外のところを歩こうとすると、ずっぽり肩まで雪の中に埋もれて、そうねえ、動物のお医者さんの菱沼さんの遭難状況みたいのを(わかりにくい例)想像して頂き、そうして、それから、2月の下旬頃に、ある日ぽっかりと晴れ渡り、積もった表面の雪が一旦溶け、その夜の放射冷却でかちんこちんに固まった結果、次の日の晴れ渡った朝早くに、普段なら肩までずっぽり埋まるはずの雪の上を、沈まずに歩くことができる、それは本来ならば田んぼであったり果樹園であったり草むらであったりする、その1メートルから1.5メートルも上空である、ということを理解して頂きたいわけです。
冬の朝早く、普段見ることのない角度から風景を見る楽しさ。普段歩けない田んぼの上や果樹園の中を通って登校するわくわく。そうして、昼前には気温が緩み、この堅さはすっかり終わってしまいます。
で、雪国の本場・新潟では、この遊びは「しみわたり」というらしいです。相方が「凍った雪の上を歩く」でぐぐってくれました。きみ、こういう時だけはかしこいな。「しみわたり」で640件ヒットしますから、おそらくこれが一番メジャーなのではないでしょうか。「かた雪わたり」では、秋田県南部、岩手県、山形県、福島県会津地方のサイトがヒットしますね。
ちなみに、「堅雪」は、春の季語です。かた雪わたりができるようになると、雪解けが近いのです。
「しみわたり」の写真を見つけたので。昭和32年頃だそうです。
http://www.city.tokamachi.niigata.jp/kouhou/yukiguni/right/4rekisi/4-2.htmより。
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コメント
ええ話をありがとう。ぽかぽかした太陽さえ思い出したような気がしています。そんな言葉も行為もすっかり忘れていたのだけれど。
投稿: Yam. | 2004/01/08 02:50
あれ、体重制限あるんですよね(笑)。今は無理だなきっと。
でも、あれですね、「しみわたり」や「かた雪わたり」で検索していろいろな雪国サイトを巡りましたが、最近は雪の遊びが廃れてしまってたり、逆に、体験ツアーみたいのがあったりするんですね。
投稿: おがん | 2004/01/08 12:10
同じく瀬戸内沿岸の町育ちにはわかりませ~ん。雪は降るというより舞うですねぇ。夜中~明け方に降り始めないと積もらないし。1cmでも積もろうものならそりゃもう大騒ぎさ。
状況や情感は浮かんでも,実際歩いてみないとわからないですねぇ。
え,体重制限がある? じゃ,もう無理じゃん。
投稿: 竜明 | 2004/01/08 13:39
>竜ちゃん
うちの実家の方の雪は根性なしなのであれ(どれ?)ですが、新潟県六日町とか、福島県会津地方とかは大丈夫なんじゃないでしょうか?知らんけどな。
投稿: おがん | 2004/01/08 22:40