ルパンふたたび
ルパンをね、読みましたよ。ザ・サードではなくて、元祖モーリス・ルブランの。ハヤカワ文庫から『怪盗紳士ルパン』『カリオストロ伯爵夫人』『奇岩城』が出てます。映画化のおかげかな。ありがたいことです。
いやー。何年ぶりだろう。あたしが読んだのって、もう何十年も前の、あのポプラ社かどっかの、少年少女向けのシリーズです。
以前、岩波文庫で『モンテ・クリスト伯』を読み直しした時も思ったけど、どうもあたしのように、小さい頃から活字中毒患者で、小学校低学年で少年少女世界名作全集とかそういうものを読み倒してしまうと、それでもう、その作品に、「読んだ」にチェックが入ってしまって、読んだ気になっている。こういうのはいかんですよ。ああいう版は、子供向けに結構いろいろ省いてあったりするし、それに何より、複雑な心理や、生活実感や、物語の歴史的文化的背景みたいなものを理解しないまま読み流してしまってるのにね。
ルパンは子供心にも何かいかがわしい雰囲気が感じとれて好きであった。それは、ホームズの、謹厳実直そうな顔の下にどろどろしたものを隠した、ヴィクトリア朝のいかがわしさともまた違う、何気ない会話にもエロいものが揺曳している、フレンチポップないかがわしさなのだ。
で、久々のルパンなんですがこれが。あー、やっぱりね、こういう話だったのね、みたいな。うすうす想像はしてたんだけど。やっぱ子供向けで満足しててはいけなかったんだなあ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
ハヤカワのはけっこう内容が違うのですか?(わたしが子どもの頃読んでたのも多分おがんさんと一緒のやつです)
昔からホームズよりルパン派だったのは、いかがわし度が高かったからかもしれません。
特に『カリオストロ伯爵夫人』は子ども向けでもけっこうなものだったと思います。
投稿: 文鳥 | 2006/06/16 00:30
や、ただ単に、小さい頃はいかがわしさの正体が想像できていなかっただけかも知れない(笑)
投稿: おがん | 2006/06/16 07:06