アニメ『西洋骨董洋菓子店~アンティーク~』#1
楽しみにし過ぎたかも知れないのだが、がっかりである。
よしながふみの原作風にしようとして失敗している(としか思えない)キャラクターの作画と、背景の3D映像の甚だしい乖離も去ることながら、演出がね。
たとえば、エイジが試合後、大好きなケーキを食う。ミルフィーユである。パタンと倒してサクッサクッと切り、クワっと大口を開けて食べ進む、手馴れた食べ方である。原作でここは、エイジがサクサクパクパクとあっという間にケーキを食い終わり、口をぬぐって「そんで?」とジムの会長に水をむけると、おもむろに会長がエイジの検査結果(網膜はく離)を告げる、という段取りになっている。ところがアニメでは、喰おうとしたらいきなり会長が検査結果を告げるのである。
そりゃないだろうと。
エイジにとっては大好きなケーキ、唯一の楽しみみたいなケーキである(それが後にエイジがアンティークに就職する動機にもなっている)。過酷なボクシングの試合の後である。ましてや言い出しにくい検査結果である。孤児のエイジにとっては親代わりみたいな人情家の会長は、言い出すタイミングを計りかねていたに違いないのである。違和感ありまくりである。
そもそもよしながふみという人は、絵がうまいかといえばそうでもない。ストーリーテラーかといえばそんなにあれ(どれ?)でもない。何がいいかというと、ひとの心の機微を描くのが、こりゃもう抜群にうまいのである。絵なんか背景ほとんどないも同然、コマの大半はおおむね人物のアップで占められているのである。
何が描きたくてアニメ化したのかと。こんな演出で満足なのかと。尺が足りないからしょうがないというようなシーンではないわけで。
とりあえずまだ第一回なんだけど、激しく萎えたな。まあでもきっと、全部見るんだろうな。
あと、ドラマが気に入って見た人は、え、あんなガチホモの話だったの、と引いた人が多かったようである。それはそれでお気の毒である。
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