ノリックは500ccのスクーターに乗ってたんだそうです。今まで、日本の公道では二輪に乗る習慣がなかったのに、今年スクーターをひとから貰い、喜んで乗ってたんだそう。あげた人は痛恨であろう。事故の直後は意識があって、救急隊員に自分の名前を告げたりもしていたらしい。いったいどうして、こんなことになってしまったんだろう。長年ノリックを見てきたモータースポーツジャーナリストの遠藤智さんも、まだ信じられない、ノリック何やってんだよ、そういうコメントを寄せている。
まだ十代の頃の、子供の顔したノリックが、500ccクラスに颯爽と登場した時のことを覚えている二輪ロードレースファンも多いだろう。ミスター飲茶NSRでスポット参戦して上位陣引っかき回した時。ヤマハからフル参戦して、96年、鈴鹿で堂々の初優勝。最終コーナーを回ったあたり、WOWOWの柄沢さんの「帰ってくる帰ってくる帰ってくる」は名実況となった。あの時、ひょっとしたら日本人初の500ccチャンピオンが誕生するかも、という予感に震えたりもしたけれど。
チャンピオンにこそ手が届かなかったけれど、彼の走りには華があった。切れ切れの時は手のつけられない速さがあった。ヴァレンティノ・ロッシもノリックのファンで、典史をもじって、自分を「ろっしふみ」と呼んだりした。
無責任なファンとしては、正直、ホンダに乗っていればなあ、ひょっとして、と思わないでもなかった。「なぜホンダに乗らないの?」と無邪気なファンから質問されて「ぼくを見出してくれたのはレイニーさんなんでぇ」と、当惑げに答えていたノリックを覚えている。
今年初めて8耐に参戦。まだまだやりたいことがたくさんあっただろうに。ノリック、早過ぎるよ。
今年は沼田選手、奥野選手とライダーの訃報が続き、そしてまさかノリックが、しかも公道で。もちろんサーキットより公道の方が何倍も危険なのはわかってるんだけどね。あまりにも辛いシーズンになってしまった。
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